09.04.17
Live8 使用感インプレ
最近このブログに「Ableton Live 8」という検索キーワードで来ている人が結構居るみたいなので、2週間ほどデモ版を試してみた感想なんかを申し訳程度に書いておきたいと思います。
ちなみに自分は現在Live 7通常版(追加インストゥルメント無し)を使っているので、Suit版に含まれる付属インストゥルメントの感想なども併せて記述しておきます。購入の参考になれば何よりです。
ワーピング関連
ワーピングの品質は目に見えて改善されてます。今回ワーピングアルゴリズムに「Complex Pro」というものが追加されました。これが従来の「Complex」よりも数段品質が向上していて、テンポを変化させるとキックやスネアがダブつくような症状がかなり改善されてます。元テンポの±15%程度なら十分使い物になる音になってるんじゃないでしょうか。
新機能の「グルーヴエンジン」はまだ使いどころが掴めてないですが、ビートのループ専用の機能だと思います。ジャズやダンクラなんかのワーピングを取って、ビートループに適用して生のグルーヴを再現する、みたいな使い方ができれば面白そうです。
ワークフロー改善関連
個人的に一番嬉しかった変更は、トラックのグループ化機能です。ステムミックスを作りたい場合、今までは新しくオーディオトラックを一本追加して、各トラックのアウトをステム用のトラックに設定して・・・といちいち面倒くさい手順を踏んでいたのですが、これがショートカットワンタッチで出来ます。しかも視覚的にも整理されていて見やすい。
それ以外にも、サード製プラグインのパラメータ設定が分かりやすくなっていたのも良かったです。7まではパラメータ一覧を開くと全てのパラメータが羅列される仕様で、コントロールが多いプラグインだといちいち全部表示してくれて分かりにくい事この上なかったのですが、8はコントロールを動かしたパラメーターだけが一覧に追加される仕様になっていて、実際使うコントロールだけに絞って表示させることが出来ます。あとパラメーターの表示制限(128個まで)も無くなってます。
他にも、トラックやクリップの複数同時選択とか、MIDIノート編集画面でコピーしたノートがちゃんとカーソルの位置にペーストされるようになってたり、細かい仕様変更がなされてます。このあたりはむしろ今まで出来なかったのがおかしかったくらいの機能なんですが・・・
あと、個人的にはエンベローブに曲線使えるようにして欲しかったんですが、これは今回も実装されず。「Live」なんだからマウスでちまちまパラメーター書いてないでつまみグリグリしろよお前らって事でしょうかね・・・無念。
最高の音質
同じプロジェクトファイルを7と8でそれぞれバウンスして聴き比べると、明らかに音のキャラに違いがある・・・ように感じました。8の方が若干音に輪郭があるというか、音の混ざり方が自然である・・・気がします。6から7になったときのような明確な差は感じられませんが、聴き比べて分かるくらいの変化はあるのではないかと。
実際、波形をソフトで比較してみると、全く一致してませんでした。サンプル数は同じだったので、少なくとも書き出される波形に変化があるのは間違いないです。サウンドエンジンではなくエフェクトの方の音質改良かもしれませんが、自分はあまりLive付属のダイナミクスは使ってないので、内部処理自体も結構変わってるんじゃないかと思います。
付属音源
Sampler
これは前々からずっと欲しかった・・・というか、必要。試してみて確信した。テクノやるならコレ必須だわ。適当なサンプル突っ込んでパラメーター弄ってるだけで1時間は遊べます。
Suitにはしないとしても、これは買っておきたい・・・けど、通常版のVerアップとSamplerの値段を合わせると300ドルくらいで、SuitへのVerアップが350ドルだから、まあやっぱりSuitにアップグレードした方がお得なのかなあ。正直これ以外の音源はそんな本気では使わなそう・・・
Operator
Live標準の音源だと、シンセらしいシンセってこれだけなのよね。出音はザ・FMって感じです。エフェクトは全く付いておらず、本当に色付け無しの音が出るので、後は別途エフェクト掛けて音作ってください、ということかな。Liveらしいコンセプトです。
操作系は優秀で音作りしやすく、今回からオシレータの波形を描けるようになったので自由度も向上してます。同じFMシンセのFM8やSytrusと比較すると、音のゴージャスさでは負けますが、逆にベーシックな音が欲しいって時はこれを使った方がよさそう。負荷も軽いし。
Analog
Operatorと用途被ってないこれ?あんましピンと来なかった。Moogっぽいシンセとして使うには色気が足りない感じだなあ・・・
Tension
A/A/Sの音源の中では一番使えそうだったかな。ギターとかはそれっぽい音出てる。まあ、本職の人にとっては話にならないだろうが・・・メイン張れるほどの音ではないけど、アクセントとしては十分使えそう。モノホン求めてる人はサンプル音源使ってください。
Electric
うーん、まあ、ローズの音が出ます。
Collision
マレット系のモデリング音源とは言ってるけど、結構いろんな音が作れる。弦の音とかも出せるので、若干用途がTensionと被る・・・あと意外と負荷が高い。Q6600で50%使うプリセットがあってビビった・・・
追加エフェクト
ルーパー
自分は打ち込みオンリーなので、製作では使うことはなさそうですが・・・完全ライブ用のエフェクトです。たぶん用途としてはこんな感じなのではと。一人エレクトリック・カウンターポイントとか出来そうですね。
オーバードライブ
今回追加されたエフェクトの中では一番地味ですね。いわゆるディストーションですが、かかり方は結構上品というか、エグみがない感じ。効果をかける周波数帯を指定できるところは良いですね。個人的には歪み系はDevastorとかTrash使うからあまり出番無さそう。
ピッチシフター
これは結構遊べる。グリグリやってると面白い効果がかかります。ただしこれはあくまでエフェクトとしてのピッチシフターなので、AutoTuneとかV-Vocalのような繊細な使い方は難しいと思います。
ボコーダー
まあ普通のボコーダーです。だけど、フリーのボコーダーって使いやすいのが意外と無かったりするので、こういうのが標準で付いてるのは使う人には嬉しいかも。標準プラグインってことでGUIも優秀だし。
リミッター
これは待望というよりはようやく、ですね。ミキシングに必要なダイナミクスがようやく全部揃いました。あまり色付けしない感じでかかりますが、能力的にはフリーのリミッターとどっこいどっこいという感じ。でも軽くて挿せまくれるので、わりと使用頻度高いかも。
マルチバンドコンプ
マスタリング用のマルチバンドコンプとしては3バンドはきついってのと、音質的にもサードの有料のプラグインと比べるとやっぱり心もとないですが、でも思ったより全然使える。何より軽い。C2Dならチャンネル単位で挿せるくらいの負荷では。音のキャラを整えたりするのには便利そうです。あとGUIが良い。
総評
今回の追加機能で一番嬉しかった機能がトラックのグループ化とかそのあたりの細かい変更で、それだけだとちょっとバージョンアップの動機付けとしては弱いので、しばらくは様子見します。
Liveは既にコンセプトが完成されてるソフトなので、正直6以降はあまり大きな変化はないというか、今後はマイナーな機能改善やプラグイン追加を重ねていく方向ではないかと思います。そういう意味で言うと、今回のバージョンの目玉は今後登場予定のMax for Liveにあるので、それの登場までは急いでバージョンアップする必要はないかなと感じました。
通常版とSuit版の比較で言うと、最初のDAWとしてLiveを買う人なら間違いなくSuitを買うべき。通常版にはシンセとして使える音源はほぼ搭載されていません。BOXで買えばEIC2は付いてきますが、ホントそれくらいしかないので、サード製のシンセ音源を豊富に持ってる人以外にはSuitを薦めます。Suit付属音源もみんな結構クセのある感じなのですが、8になって最初から付いてくるライブラリー(プリセット)がかなり強化されているので、即戦力だと思います。
あと、やっぱりSamplerはLiveの強みを生かしきる意味でも是非欲しいインストゥルメントです。通常版を買おうという人も、先々はSamplerの購入を見越しておくか、どうせなら思い切って最初からSuitにしてしまうのも手だと思います。
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